Rwanda(ルワンダ)通信 Vo.6

仙台市健康福祉局生活衛生課 豊川絢子
(発行:2019.12.20)

■はじめに
あっという間に今年もあとわずかとなりました。
日本のような季節感がないルワンダにいると、日本の年末が非常に恋しくなります。
ちなみにルワンダでは、年末年始を盛大にお祝いする習慣がなく、去年の大晦日は自宅で静かに過ごしました。
さて今回は、今取り組んでいるジェリカン洗浄キャンペーンについて紹介します。

 

■ジェリカン洗浄キャンペーン/Jerrycan Wash Campaign

ジェリカンとは?
ルワンダでは、水を汲む時に使うポリタンクのことをジェリカンと呼んでいます。
黄色もしくは白いものが一般的です。
水道が通っていない家庭は、このジェリカンを持って水を汲みに行きます。
ちなみに私の家にも6つのジェリカンがあります。
多くの住民がジェリカンを使っていますが、中を覗くとカビや藻、土で非常に不衛生。
中が洗いにくい構造になっているため、なかなか綺麗に洗うことができません。
これはダメだ!ということで、ジェリカン洗浄を広めようと日々活動しています。

<ジェリカンで水を汲む村人たち>
ジェリカンで水を汲む村人たち

 

①洗浄方法の模索
中が非常に洗いにくいジェリカン。
どうしたら汚れが良く落ちるかいろいろな方法を試しました。
できるだけお金をかけず、環境にも配慮し、身近なもので試行錯誤した結果、卵の殻と少量の水で汚れが良く落ちることを発見しました。
頑固な汚れには石鹸や小石、葉っぱ、重曹なども合わせると、とても綺麗になることがわかりました。

<砕いた卵の殻>
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<石鹸>
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<小石>
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<瓶のふた(王冠)>
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<ベーキングパウダー>
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<kateye(ランタナ)の葉>
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②データ収集、対象の決定
活動先のヘルスセンターで、下痢や寄生虫の患者がどのくらいいるのか、毎月のデータを集めました。
これらの疾病は不衛生な水に起因すると考えられます。
患者の年齢、性別、住所を確認し、患者が最も多い村を3つ選定しました。

<ヘルスセンターの同僚たち>
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③村でのミーティング
選定した3つの村を訪問し、村長、村役場の職員、衛生クラブのリーダー、コミュニティヘルスワーカーと打合せを行いました。
患者が多い現状を伝え、ジェリカン洗浄キャンペーンを提案しました。
村の定例ミーティングに招いてもらい、そこでキャンペーンを行うことになりました。

<打合せの様子>
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④卵の殻集め
キャンペーンで使う卵の殻を集めるため、近所の商店やレストラン、ホテル、パン屋さんに専用容器を置かせてもらい、卵の殻を集めてもらいました。
生卵の殻は細菌汚染の可能性があるため、ゆで卵の殻限定としました。

<Ibishishwa by’amagi (卵の殻)と書かれた容器>
たくさんの殻を詰めてくれたレストランのスタッフ。ルワンダの卵の殻は茶色が一般的。

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⑤湧水での水質検査
選定した3つの村の住民たちは、近くの湧水の水を飲んでいることがわかりました。
そこで、キャンペーン
開始前にその湧水を訪ね、水質検査を行いました。
<大きな異常はなかったものの、大腸菌群が検出された湧水もありました。>
水質検査

 

⑥キャンペーン当日
村の定例ミーティングで水因性疾患の多い現状を説明した後、いざジェリカン洗浄!
事前にお知らせし、住民たちに自宅から汚いジェリカンを持ってきてもらい、グループに分かれてジェリカンを洗ってもらいました。
卵の殻と少量の水だけで汚れが落ちることがわかり、驚いている村人もいました。
長年洗ってこなかったジェリカンの頑固な汚れはなかなか落ちず、自ら持参した石鹸やハーブのような葉っぱ(良い香りでよく泡立つ)を試してみる村人も。
また、参加者数名に家族構成や水の入手方法、最近下痢になったか等、アンケートを取りました。

<キャンペーンの概要説明>
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<グループワーク>
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<たくさんの子供たちも参加>
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<Before・After>
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<ジェリカンから出てきた汚れ>
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<大人も子供もシェイクシェイク!!>
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⑥今後の活動
ジェリカン洗浄を継続的に実施してもらえるよう、村の衛生クラブへ出向いて多くの人に再度ジェリカン洗浄の大切さを伝えていきたいと思います。
また今回のキャンペーンで使用したジェリカンが綺麗なまま保たれているか、家庭訪問をして確認したいと考えています。

今回事前に行った水質検査で、大腸菌群が検出された湧水がありました。
この湧水のまわりには保護柵がなく、動物や人が自由に出入りできる状況です。
実際に訪れた際も、湧水のすぐ近くで牛が草を食べ、糞が散らばっている状況でした。
水源汚染を防ぐため、このような状況を村長や村役場の職員とも共有して、環境を改善していきたいと思います。

<湧水の近くで草を食べる牛> 糞もたくさん散らばっていました。
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